大判例

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東京高等裁判所 昭和24年(新を)440号 判決 1949年11月12日

被告人

小林與吉

外一名

主文

本件控訴は孰れもこれを棄却する

当審に於ける未決勾留日数中百二十日を被告人小林與吉が言渡された懲役刑に算入する

被告人小林與吉に対する当審に於ける訴訟費用は全部同被告人の負担とする

理由

弁護人黑沢子之松控訴趣意について

論旨は原判決は被告人小林は昭和二十三年十一月二十一日新潟簡易裁判所に於て窃盜罪により懲役十月(未決勾留日数中十五月通算)三年間執行猶予に処せられ右裁判は同年十二月四日確定したるものであると判示しながら右裁判確定前である昭和二十三年九月二十八日の犯行である本件は刑法第四十五條前段の併合罪でするから同法第四十七條本文並に同法第十條によりて犯情の重い判示第一の一の罪の刑に法定の加重をなし云々しておるが本件は刑法第四十五條後段の併合罪として審理し同法第五十條に基き科刑すべきであるのに右の樣に判示したのは法律の解釈と適用を誤つたもので破棄を免かれないというが原判決には被告人小林與吉の判示第一の一、この各所爲は刑法第二百三十五條第六十條にあたり、それは同人の前科にかかる犯罪と同法第四十五條後段の併合罪であるから未だ裁判を経ないこの窃盜罪について処断することになるが右は同法第四十五條前段の併合罪であるから云々と判示しておつて第五十條を適用した旨記載してはないが右判決の行文を見ると本件犯罪と前掲前科にかかる犯罪とが第四十五條後段の併合罪であるから未だ裁判を経ないこの窃盜罪について処断することになるがと記載しておるからこの趣旨は明らかに刑法第五十條に則つたものであることが窺われる「総則規定は実際に適用しておる以上特にこれを判決に明示する必要がないものであるから刑法右五十條を明示しないからというて所論のような違法はない」

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